2007年9月アーカイブ
ホラー映画などに出てくる幽霊は怖いものですが、「幽霊を見て怯えている人の顔」もまた恐怖感を増幅させる効果があるようです。実際、恐怖感などを司る脳の扁桃体という場所は、他人のおびえた表情や恐れおののいた表情を見た際に反応するということがすでに知られています。
ところで人間の顔の中で、目の表情は口や鼻に比べて多くの情報を伝えるものです。そこでWhalenらは、驚いたり恐れたりしたときにひんむかれる白目だけを見せた場合に、それを見た人の扁桃体はどのように反応するかをfMRIを用いて調べました。
実験では顔は全て黒塗りとして目以外の表情を判らなくさせ、笑ったときの目(白目の面積が少ない)と恐怖感を漂わせる目(白目の面積が多い)のみを撮像して、それを普通のときの目に混ぜて交互に被験者に見てもらいました。その結果恐怖感が漂う図を掲示した場合だけ、扁桃体が活性化されていることが判りました。次に、顔を全て白塗り、黒目部分を白く、白目部分を黒くするという反転画像(目の輪郭だけがわかる画像)で同じ実験を行いましたが、その実験においては扁桃体の働きに差は認められませんでした。つまり被験者の扁桃体は、目の形ではなく、白目の部分に反応して活性化している、ということが判りました。
人をびびらせたいときには、目をくわっと見開き、白目部分の面積を広げたほうがいいようです。
<参考文献>
Whalen, PJ., et al; 2004. 'Human amygdala responsibility to masked fearful eye whites' Science, 17 Dec:2061.
若い頃は夜更かしの朝寝坊だった人でも、年を取ると早寝早起きになると言われていますが、本当でしょうか?
年齢によって睡眠覚醒リズムは本当に変動するものなのか、Roennebergらはさまざまな年齢の25000人に対して仕事などが無い日の就寝時間と起床時間を調査しました。
その結果、思春期から青年期にかけて就寝時間はどんどん遅くなる、つまり夜更かしになっていくのですが、男性は20.9歳、女性では19.5歳を過ぎると一転、就寝時間は早くなって行くという結果が得られました。
このような変化はどうして起こるのでしょうか。
人間の成長ホルモンの分泌は体内時計に関連しており、夜間に最大濃度になることが知られています。しかし16歳~25歳では70歳以上と比べ、その血中濃度が最大となる時間が1時間ほど遅くなっていることが明らかとなっています。このような事実から、Roennebergらは、就寝時間の変化が人の生態学的な変化に関連があるのではないかと考えました。
人間は成人になるまでに思春期と青年期を経ます。思春期は骨の成長が止まる女性16歳、男性17.5歳をもって終了する、というのが一般的な考え方ですが、青年期がいつまで続くのか、ということに関する明らかな指標は今まで見出されていませんでした。Roennebergらは、今回の研究で明らかになった就寝時間の変化が起きる時期を、青年期の終了をさす指標として用いられるのではないかと提唱しています。
<参考文献>
Roenneberg T., et al A marker for the end of adolescence. Current Biology Vol 14, No24 R1038-9
確かに憶えているはず、知っている人なのだけれど、名前がなかなか思い出せない、「のどもとまで出かかっているのに」出てこなくていらいらするということを、ほとんど全ての人が経験したことがあるかと思います。思い出せてすっきりとしたことも、思い出せなかったこともあるでしょう。Kikyoらは、この「誰だっけ→思い出せた」の過程で脳がどのように働いているかをfMRIを用いて調べました。
その結果「誰だっけ?」と考えあぐねているときには、脳のさまざまな部位が活動をしていますが、「そうだ」と思い出させた場合だけ、脳の左の前頭前野外側部というところが特別に活発に活動することがわかりました。逆にいうと脳のこの部位が働かないと、たとえ答えを知っていても「のど元」から先に出てこないようです。
<参考文献>
Kikyo H et al “Temporal characterization of memory retrieval processes: an fMRI study of the “tip of the tongue” phenomenon” European Journal of Neuroscience Vol.14, 887-892.2001
「自分とは私ひとりしかいない存在である」という意識は、脳の働きのなかでもかなり高次な機能のひとつです。その機能が不全を起こすと、ひとりの人の中に、全く別人のような人格がかわるがわる現れる「解離性同一性障害」、いわゆる「多重人格」という障害が起こることがあります。虐待や死に直面した事故などのトラウマと呼ばれる経験がきっかけで多重人格になってしまう人がいますが、このような場合、トラウマを憶えている人格と憶えていない人格が交互に現れてきます。
Reindersらは、多重人格の人の中の、トラウマを憶えている人格と憶えていない人格に、それぞれトラウマとそうでない思い出を思い出してもらい、その時の脳の働きを局所脳血流という形で検討しました。その結果、二つの人格で脳の血流のパターンが違っていることが明らかとなりました。この違いにより、トラウマを憶えていない人格では記憶統合能力が低下し、つらい体験が「自分の思い出である」という認識を起こさせないようにしている可能性が推測されます。
多重人格は「心因性」の精神障害であるといわれ、脳の機能との関連はあまり検討されてきませんでしたが、実際には脳の働き具合も変化していることがこの研究で明らかになりました。
<参考文献>
Reinders, AA., et al "One brain, two selves" Neuroimage 20(2003) 2119-2125
「失読症」というのは、知能は正常で文字の意味も判り、絵や物体の意味を正しく把握できる関わらず「文字を読む」ということだけが困難である、という症状のことをいいます。これまで失語症ではどの言語であっても、脳の左側頭頭頂葉という部分に障害が起きているものと考えられていました。
しかし文字にはアルファベットのような表音文字と、漢字のような表意文字があり、それぞれを読む際に必要な「手順」が異なります。アルファベット表記のものを読む場合には、その文字達が示す音節を頭の中で考え、その音をそのまま発します。pencil[ペンシル]という単語を読むにはpe[ペ]・n[ン]・ci[シ]・l[ル]と分ければ読めます。一方漢字表記のものを読むには、漢字を部首などに色々と分割しても発声する事はできません。漢字を見て、その文字の持つ意味を想起し、その意味を持つ音を発しなければならないのです。
これらのことを踏まえて、ホンコン大学のSiokらは、文字を読む際に働いている脳の部位は言語によって異なっているのではないかと考え、fMRIを用いた実験を行いました。
その結果、アルファベットを読む際に最も活動したのは従来の研究通り脳の左側頭頭頂葉であったのに対し、漢字表記の中国語を読むのに最も活動したのは左中前頭回という部分でした。
この結果は同じ失読症という症状でも言語文化が異なれば障害されている部位が異なっている可能性を示唆しています。
国や文化が異なると脳の機能にも何らかの違いが出てくるのかも知れません。同じ漢字文化でありながら、表意文字の漢字と表音文字のひらがな、カタカナを使いこなしている日本人の脳はどうなっているのでしょうか?
<参考文献>
Siok, WT. Et al. "Biological abnormality of impaired reading is constrained by culture" Nature vol431. 2 Sep 2004. 71-6
様々な局面を想定し、その際の振る舞いを頭の中で練習することをイメージトレーニングといいます。頭だけでなく、イメージトレーニングをする時に実際に少し体を動かしてみることもあるでしょう。しかし「習うより慣れろ」といわれているように、イメージトレーニングと実演とでは得られる「経験値」に違いがあります。その二者の間で、脳の使い方にどのような違いがあるのでしょうか?
Okamotoらはリンゴの皮むきを実際に行った場合と皮むきの真似事をした場合(イメージトレーニング)とで、頭の働かせ方の違いを調べました。その結果皮むきのふりをしているときには、脳の「動き」にまつわる部分しか働いいていなかったのに対して、実際にリンゴの皮をむいているときには脳の前頭前野と呼ばれる部位も働いている事が分かりました。
このことより、皮むきに必要な視覚、触覚情報を交えた総合的な運動実行や注意力の持続などに、前頭前野が関与しているのではないかと著者らは論じています。
習うより慣れた方がいいのは、実際に何かをした時の方がより多く頭を使うからのようです。
<参考文献>
Lim MM et al. Enhanced partner preference in a promiscuous species by manipulating the expression of a single gene. Nature. 2004 Jun 17;429(6993):754-7
哺乳類には特定のパートナーを作らず、雄が複数のメスと交尾する「多夫多妻制」と種類と、決まったパートナーでつがいを作り、両親で子供を育てる「一夫一婦制」の種類がいます。この違いはどこからくるのでしょう?
同じハタネズミの仲間同士で、近い関係にある種類でありながら、プレーリーハタネズミは一夫一婦制、アメリカハタネズミは多夫多妻制であることが以前から注目されていました。それぞれの脳を調べたこれまでの研究で、前脳腹側領域のヴァソプレッシンというホルモンの受容体数が、プレーリーハタネズミの方がアメリカハタネズミより多い事が知られていました。また前脳腹側領域のヴァソプレッシンの働きを押さえる薬剤を投与したところ、プレーリーハタネズミでも同じパートナーと過ごす時間が短くなり、多夫多妻制の種類の行動パターンに似る、ということが判っていました。
Limらは遺伝子操作によって多夫多妻制動物であるアメリカハタネズミの雄の前脳腹側領域にヴァソプレッシンの受容体を多くする実験を行いました。その結果一匹のパートナーとはあまりねんごろにならないはずのアメリカハタネズミが、ある特定のパートナーと長い時間を過ごすようになりました。つまり多夫多妻制の行動パターンが、一夫一婦制に近づいて行ったのです。これは、一つの遺伝子の発現パターンを変えるだけでもその動物の行動パターンは変わりうるということを証明しており、興味をそそられます。もちろん動物個体の行動パターンは単一の因子により全て定義されているのではありませんが。
<参考文献>
Lim MM et al. Enhanced partner preference in a promiscuous species by manipulating the expression of a single gene. Nature. 2004 Jun 17;429(6993):754-7
ちょっと前までは「色彩つきで夢をみる人は想像力豊かな人」などと言われていましたが、最近ではほとんどの人が夢を色つきでみているようです。しかし1942年にMiddletonらが行った調査では、当時のほとんどのアメリカ人が夢は白黒でみると答えたそうです。この変化は何によって起こったのでしょうか?
SchwitzgebelらはMiddletonらが行った調査法と全く同じ方法でアメリカ人を対象に夢の色彩の有無を調べました。その結果大抵の人が夢に色彩がついていると答えたそうです。ところがこの報告の中で、オーストラリア人を対象に行った1990年代の調査では逆に白黒の夢をみていると答えた人が多かったとのことです。
このことからSchwitzgebelらは、夢が白黒からカラーに変わったのではなく、テレビや映画などが白黒からカラーに変化し、映像とは色彩を帯びているものと人々が思い込むようになったこと、さらには「夢は色彩を帯びている」という人々の共通の認識が生じたことによって、夢を色彩つきのものだと感じさせているだけなのではないかと論じています。
あなたの夢は白黒ですか? カラーですか?
<参考文献>
Schwitzgebel E, 2003. Do people still report dreaming in black and white? An attempt to replicate a questionnaire from 1942. Perceptual and motor skills, 96, 25-9.
何も変わったことがないのに「なんだか嫌な予感がする」と感じた後で、実際に悪いことが起きることがあります。こうした予感を「虫の知らせ」といいますが、実際には「何も変わったことがない」のではなく、言葉には表せないような周囲の変化を感じ取り、統合した上で「嫌な予感」を感じるのだ、との説もあります。このような様々な情報を認知・統合し、危険を回避するという能力は、生きていくうえで非常に重要です。ところでこういった能力を発揮するには頭のどの部分を使っているのでしょうか?
Seymourらは機能的磁気共鳴映像法(f MRI)を用いて、危機がおこる状況が予測される際に脳のどこが活発に動いているのかを検討しました。被験者に様々な映像を見てもらい、ある特定の映像が続いた後に痛み刺激が与えられるようにしました(忌避条件づけ)。その結果「これが続くと次に痛みがくる」というパターンが頭に染み付き、学習されるにつれ脳の島前部と腹側線条体という部位の活動性が上昇することが分かりました。これまでに島前部や腹側線条体は感情の制御や動機付けに関与することはすでに知られており、これらの部位が好悪の予測にもとづく善後策をとる際に重要な役割を果たしているということがこの研究より明らかにされました。
<参考文献>
Seymour B et al; 2004. Temporal difference models describe higher-order learning in humans. Nature, 429; 664-667
食生活と精神疾患のかかりやすさを調べた研究というものは、これまでそれほど多くありませんが、海産物を食べる量と精神状態の関係についての研究はいくつか知られています。たとえば魚に多く含まれている物質であるドコサヘキサ酸(DHA)やエイコサペンタ酸(EPA)などが十分に摂られていないと、精神疾患にかかりやすいではないかと考えられています。うつ病の方はそうでない人よりもDHAやEPAの血中濃度が低いと論じている人もいますし、またDHAやEPAが含まれるomega-3サプリメントをのむことで抑うつ状態の改善をみたという報告もあります。DHAやEPAなどを多く含む海産物を多く食べることで希死念慮のリスクが減るという人もいます。
NoaghiulらはDHAやEPAなどを多く含む海産物の国民一人当たりの摂取量と、その国のうつ病などの感情障害生涯罹患率(一生のあいだである病気にかかる確率)とを比較しました。その結果、海産物の摂取が少ない国では、多い国よりも感情障害の生涯罹患率が高いということがわかりました。この発表は海産物摂取量以外の要素との比較が行われておらず、DHAやEPA以外の要素についての調査は行われていない点で議論の余地があるようですが、とりあえず海産物を食べることは気分を整えるのに良いようです。
<参考文献>
Noaghiu, S., Hibbeln, JP., Cross-national comparisons of seafood consumption and rates of bipolar disorders. Am J Psychiatry 2003; 160:2222-2227.
精神科では脳のちいさな構造やそれぞれの部位の機能の違いに対する関心が高まっており、脳を調べる安全で精密な検査方法がいろいろと研究されています。磁気共鳴画像法(MRI)は以前から使われていますが、最近はMRIでも拡散強調画像法(diffusion weighted imaging DWI)という方法を使って、より詳しい脳の画像を見ることが可能となりました。この方法の出現によって脳のきわめて早期の血管病変の発見できるようになり、またアルツハイマー病や血管性痴呆といった痴呆性疾患を診断する精度も上がりました。
さらにこのDWI技術を発展させた拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging DTI)では被験者の頭の神経走行をパソコン上で再現する(tractography)ことが可能となってきています。こういった技術の向上が、さらなる脳研究発展に影響を与える事が期待されています。
<参考文献>
Dement Geriatr Cogn Disord. 2004 Apr 14;18(1):101-108.
Ultrastructural Hippocampal and White Matter Alterations in Mild Cognitive Impairment: A Diffusion Tensor Imaging Study.
Fellgiebel A, Wille P, Muller MJ, Winterer G, Scheurich A, Vucurevic G, Schmidt LG, Stoeter P.
音楽家の中には比べる音を聞かなくても、今聞いている音の名前や音の高さを言い当てることの出来る「絶対音階」という能力を持つ人々がいます。
この能力は生後まもなくからの訓練により後天的に得ることができますが、その獲得のしやすさには遺伝的な要素も加わっているようです。
平田らはMRIやfMRIなどを用いて絶対音階を持つ人の脳に関する研究をしました。その結果絶対音階をもつ人はMRI上、音を聞く、という機能を受け持っている脳の部分(聴覚野)である側頭平面の容積が、絶対音階を持たない人に比べて大きいことがわかりました。またfMRIでは、絶対音階を持っている人の反応と持っていない人の反応比べると、絶対音階を持っている人では、脳の側頭葉の聴覚野の興奮の亢進と、右前頭前野背外側部後部の興奮が認められました。
脳の前頭前野背外側部は、感覚に対する連合学習に関連しており、絶対音階を持っている人に音楽を聞かせた場合、その音の周波数と音名を常に結び付けているということがわかりました。これにより訓練により獲得した能力(絶対音階)により、無意識に頭の色んな部分が働くようになったという学習モデルが確認されました。
<参考文献>
平田恵啓 絶対音階を持つ音楽家の大脳皮質の活動 脳の科学2002,24:915-921.
Baharloo et al , 1998. Am J Hum Genet
Grengersen et al, 2000. Am J Hum Genet
ギャンブルにはまってしまって、社会生活が破綻してしまう人が時々います。「ギャンブルしか楽しみがない」「お金がなかったら借りてでもやりたい」「ギャンブルをやっている最中がいちばん幸せ」「負けたらそれ以上賭けて取り戻そうとする」「止めようとしても止められない」....。こういうふうにギャンブルにはまった状態を、「病的賭博」といって、精神科の治療の対象になることがあります。身近な例では最近話題になった「パチンコ依存症」も病的賭博の要素があるようです。
病的賭博に陥っているとき、脳はどのようになっているのでしょう。これまで病的賭博の患者がギャンブルをやっていると、脳の前頭前野腹側正中部というところが機能低下を起こしていることが知られていました。Potenzaらは、脳の活動を調べるfMRIという機械を用いて、病的賭博の患者を検査したところ、お金を賭けない心理テストの時でも前頭前野腹側正中部の機能が健常人より低下していることが分かりました。この部分は判断をつかさどる場所として知られており、その中でも特に前頭葉眼窩面部皮質と呼ばれるところは衝動を抑える機能と関係があります。
病的賭博の背景にはこのような脳の機能異常が隠れているようです。
<参考文献>
Potenza MN., Leung HC., Peterson BS., et al "An fMRI stroop task study of venrtromedial prefrontal cortical function in pathological gamblers." Am J Psychiatry 2003, 160: 1990-5
女性の生理の間隔が間遠になり、やがて生理が来なくなる時期を、閉経期といいます。この時期になると卵巣はうまく働くなり、卵巣から出る卵胞ホルモンというホルモンの濃度が安定しなくなります。卵胞ホルモンが足りなくなると、体はその不足分を補うために脳内から卵胞を刺激して卵胞ホルモン分泌を促す物質(FSH)を多く分泌したりします。
この時期は、苛々、うつ気分、不安感などのうつ症状が出現することが多いことが知られていますが、このような閉経期のうつ状態に対して卵胞ホルモン補充、特にエストラジオール補充療法による治療が現在広く行われており、ある程度の効果があるようです。もっとも閉経期の女性全てでエストラジオールが低いかというと一概にそうとは言えず、卵胞ホルモンの気分に対する働きもまだ良くわかっていないのが現状です。
最近Robertらはうつ気分と卵胞刺激ホルモンの関係を調べました。閉経期にうつ状態になった人たちとうつ状態にならなかった人たちを比べたところ、FSHの濃度に差はなかったものの、うつ状態の人たちが軽快するにつれ、FSHの濃度が低下していったことがわかりました。卵巣の機能が強い弱いが閉経期うつ状態に関連しているのではなく、閉経期に身体の中のホルモン環境がどれくらい変化したかが、影響を与える因子なのかもしれません。
<参考文献>
Robert CD., Merry AD., David RR., Peter JS., “Concordant restration of ovarian function and mood in perimenopausal depression. Am J Psychiatry 2003, 160;1842-46.
尿や体毛を用いて過去の飲酒の状態を突き止める新たな方法が開発されたと英科学誌、ニューサイエンティストが報じました。
現在一般に用いられている検査法では血液と尿に残っているアルコールが頼りですが、アルコール自体は肝臓によって数時間で代謝され体内から消えてしまいます。そのためこれまではある程度時間が経ってしまうと、酒を飲んでいたかどうかを調べることができませんでした。
しかし最近の研究ではアルコールに特有の分解成分エチルグルクロニドという物質が、飲酒後時間がたって体内からアルコールが消えても長期間尿中に残っていることを明らかにしました。この物質を調べることによって最大5日前に飲酒をしたかどうかを突き止めることができるとのことです。
もっと以前の飲酒状態を検査したい場合は、体毛に長時間蓄積される4種類の脂肪酸エチルエステルを調べることで検査が可能であるといいます。尿と体毛の検査の組み合わせにより、普段の飲酒習慣の程度が分かるそうです。
「飲酒の証拠を抹殺するには体毛を全部剃ってしまうしかない」と開発者のWurstは述べています。
<参考文献>
Booze tests reveal all about your drinking
http://www.newscientist.com/news/news.jsp?id=ns99994662
人はたとえべらべらしゃべっていたにしても、会話の最中や文と文の間に少なからずダマってる瞬間があります。これは次に何を言うかとかどういう風に表現するかを考えている時間であると考えられています。またしゃべっている最中と、文と文の間の沈黙にも違いがあり、文間の沈黙は長い文章を考えている、会話の最中の沈黙は聞きなれない単語やびっくりした場合に起こると考えられていました。
TiloらはfMRIという頭の活性部位が分かる装置を用いて沈黙している時もぼぉっとしているわけではないこと、この二つの沈黙が起こっている際に頭の働いている部位が異なっているということを見いだしました。沈黙の間には文章を企てる際に働くと考えられている頭の部位が興奮していることも確認しました。
絶句というのは考えど考えど二の句が告げない際におこる、頭が興奮しきったbusy状態を示しているのかもしれませんね。
<参考文献>
Tilo TJ Kircher, Michael J Brammer, W Levelt, Mathias Bartels, Philip K McGuire et al "Pausing for thought: engagement of left temporal cortex during pauses in speech" Neuroimage 2004; 21: 84-90.
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害(いわゆる脳卒中)を起こした人の40%はその後抑うつ状態を呈すると言われています。また、うつ状態も呈した脳血管障害の方はうつ状態を呈さなかった脳血管障害の方よりもその後の経過がよくない、とも報告されています。
この脳血管障害の方に抗うつ薬を処方すると9年後死亡率が改善したという研究が報告されています。さらにこの研究では比較のためにうつ状態を呈さなかった方にも抗うつ薬が処方されていましたが、興味深いことにうつ状態を呈した人だけではなくうつ状態を呈さなかった人たちも9年後の死亡率が改善することを明らかにしました。
報告者は様々な要因が重なった結果であるとまとめていますが、いずれにせようつ状態にならなかったとしても脳血管障害後に抗うつ薬を用いることはよいことのようです。
<参考文献>
Ricardo EJ, Robert GR, Stephan A, Sergio S., "Mortality and poststroke depression: A placebo- controlled trial of antidepressants." Am J Psychiatry 2003; 160:1823-29
女性は男性の2倍うつになりやすいといわれています。その原因として女性の財政的な問題や担っている社会的役割、暴力や虐待によるものもあるかと考えられています。最近女性における虐待とうつの関連についての詳しい調査が行われました。その結果、うつの女性はうつではない女性と比べて夫や恋人から虐待を受けたことがある、もしくは受けている頻度が高いということが分かりました。この調査はオーストラリアで行われたものですが、日本でも同様の傾向があるかもしれません。うつ状態になっている女性の背景に虐待がある可能性を常に考えなければいけません。
<参考文献>
Kelsey H, Jane†G, Patty C, Rhonda S, et al., "Association between depression and abuse by partners of women attending general practice: descriptive, cross sectional survey." BMJ 2004; 328:621-4.
モノの捕らえ方が男女で違いがあるといわれていますが、最近の画像技術の進歩により、男女の脳の働きにも違いがあることが判明してきています。Hamannらはエッチな刺激に対する男女の反応の違いをfMRIという機械を用いて明らかにしました。男女に対し異性の性的な映像を見せ、頭の中のどこが、どれくらい興奮するかの差を調べました。その結果、男性では脳の扁桃体と視床下部と呼ばれる部分が女より強く働いているということが分かりました。また右よりも左の扁桃体がより強く働いていることも明らかになりました。これは動物で行った実験と同様の結果であり、扁桃体が男性の強いリビドー(性欲)を示しているようです。男女の性に対する考え方の違いはこの違いから来ているのかも?
<参考文献>
Stephan H, Rebecca AH, Carla LN, Kim W, et al., "Men and women differ in amygdara response to visual sexual stimuli." Nature neuroscience online; May 2004.
<参考文献>
Stephan H, Rebecca AH, Carla LN, Kim W, et al., "Men and women differ in amygdara response to visual sexual stimuli." Nature neuroscience online; May 2004.
