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  ひきこもりwithdrawal

ひきこもり(引きこもり)とは?

定義

ひきこもりとは、単一の病気や障害ではなく、何らかの理由で外出できない状態のことを一般にはさします。不登校、学校を中退、職場にいかない、失業後仕事を探さない、などで自宅、部屋からでないで閉じこもっている状態などを含みます。

精神的な病気によるものもあれば、社会生活でのストレスなどの影響などで、自宅、部屋からでず、学校、会社にいかないことです。斉藤環先生は著書の中で「社会的ひきこもり」を以下のように定義しています。

6カ月以上、自宅にひきこもって社会参加をしない状態が持続

・ほかの精神障害がその第一の原因とは考えにくい

とされています。

厚生労働省の「社会的ひきこもり等への介入を行う際の地域保健活動なあり方について研究」での基準では、

1.自宅を中心とした生活

2.就学・就労といった社会参加活動ができない。していない

3.以上の状態が6ヶ月以上続いている。ただし、

4.統合失調症などの精神病圏の疾患、または中等度以上の精神遅滞を持つものは除く

5.就学・就労はしていなくても、家族以外の他者(友人など)と親密な人間関係が維持されてるものは除く、

が、社会的ひきこもりとされています。

 

以下には、生物学的要因・つまり精神科の病気で、ひきこもりになる場合について説明いたします。病気によるひきこもりは、治療によって回復する可能性がありますので、あてはまると感じたときは、精神科、心療内科の受診をおすすめします。

 

統合失調症:幻聴(たとえば、頭の中に人の声で命令されて「外にでるな」といわれる)、妄想(外にでると○○に殺されてしまう、だから外にでられない。監視カメラで見張られてるから外出できないと確信してしまう)また、病気のせいで意欲、気力がでず、外にでたがらないでひきこもりになることがあります。

うつ病、抑うつ状態:ゆううつな気分、意欲がでない、興味がでない、眠れず昼間ねてしまうため、外出が困難になることがあります。このため学校への不登校になることがあります。

強迫性障害:「外は不潔だから外出できない」など強迫観念といわれる考えによるものや、手洗い、確認などの強迫行為といわれる行動による、外出困難がみられます。

パニック障害:乗り物や会議、広場などで動悸や呼吸困難、息苦しさを伴う発作様症状、「また似たような発作がでるのではないか」という【予期不安】といわれる症状により、外出困難が生じることがあります。

摂食障害:やせ願望、肥満恐怖、無茶食い、食べ吐き、下剤の乱用などに起因する低体重、電解質異常などにより体力が低下し、物理的に外出できなくなりひきこもりになることがあります。い、また2次的に抑うつ状態を呈している場合。女性に多い病気です。

PTSD:強度な外傷的体験(トラウマ)の後で不安、恐怖、集中困難、不眠になり、ひきもりになる場合があります。

適応障害:何らかの強いストレス、学校や職場、生活環境の変化などに伴い、ひきこもりになる場合があります。

パーソナリティ障害:特に回避的、無為、自閉的なパーソナリティ傾向を伴うタイプの障害で、ひきこもりになる場合があります。

精神遅滞:一般的な知的機能の低下、それに伴う意志伝達、自己管理、家庭生活の障害、社会的―対人交流などの障害によって、ひきこもりになる場合があります。

 

その他広汎性発達障害、自閉症では社会性の障害、コミュニケーション障害のためひきこもりになることがあります。

これらの病気の可能性がある、と感じたら、精神科、診療内科の受診をおすすめします。

 

心理的な側面によるひきこもりとしては、心と心の交流をもてない情緒的交流の困難によるひきこもりもいわれています。そのようなひきこもりには、たとえば、親子で関わりが少なく、親子の間で必要なコミュニケーションが殆ど成立していない場合があります。

思春期独特の「悩み」を何年も抱え続け、その結果ひきこもりの長期化がおきることがあります。たとえば本人の視野の狭さ、頑固さなど、思春期の考え方、自分中心的な構えの影響もあります。

ひきこもりの治療のために長期フリースクール、フリースペースなどに通って、そのような環境では人と付き合えるし、それなりに元気に過ごせるが、なかなかその状況から卒業できずに高齢化してしまうーこれはフリースクール症候群といわれ、近年問題とされています。

 

相談機関

医療:精神科、心療内科、小児科、産婦人科、内科

保健:保健所、精神保健福祉センター、市町村保健師

福祉:児童相談所

教育:教育センター、学校、市町村教育相談所

司法:思春期対策に対する窓口(電話・補導員)

があります。相談する方法を簡単に説明いたします。

医療機関:精神科、心療内科などでは薬による治療、精神療法といわれる医師による診察がうけられます。病院、診療所による診察は専門外来以外では時間が長くうけられないこともあります。また、小学校~高校生の方を診察できる児童思春期の専門家が少ないのが現状です。病院、診療所によっては臨床心理士の資格をもつ先生に「カウンセリング」がうけられます。この場合、専門的な相談がうけられることがあります。

保健所:保健所は地域の保健衛生活動を担当しています。精神保健に関する事業として、かっては精神障害者に対する相談、ケアが中心でしたが、現在では広くこころの健康全般に関する電話相談、面接相談など施行しています。もよりの保健所に是非相談してみてください。

精神保健福祉センター都道府県と政令指定都市に設置、全国に60カ所以上あります。

電話相談、カウンセリングを行っています。近くに精神保健福祉センターがあるなら、是非相談をおすすめします。

児童相談所:いじめ、不登校、児童虐待など、18才未満の児童およびその家庭に関する問題についての相談をうけています。。児童福祉伺、精神科医などの職員による相談がうけられることがありますので、18歳未満の方は是非相談してみてください。保健所、精神保健福祉センターに紹介して頂ける場合もあります。

教育相談センター:18歳未満で学籍がある場合相談がうけられます。子どもや親からの、学校教育、いじめや不登校などに関する教育相談ができます。

婦人相談所:配偶者などによる家庭内暴力などに対する相談、一時保護をうけています。

民間支援団体:地域によっては様々な民間支援団体があります。

例)社団法人・青少年健康センター 不登校・いじめ・出勤困難・ひきこもりなど、青少年の心の問題に取り組む非営利の団体。電話やメールによる相談のほか、デイケア、社会参加支援、訪問相談など。北の丸クリニック(精神科診療所)と提携

親の会;自助グループ:地域の保健所、精神保健センターに紹介されることもあります。是非検討してください。

 パニックは、ギリシャ神話に出てくる牧羊の神様「パン」が語源です。急に何かに取り付かれたように羊の群が暴れ出す様子を見た羊飼いが、昼寝の邪魔をされて怒ったパンのしわざと考え、パニックということばになったといいます。
 パニック発作が何故起こるのかはまだはっきり判りませんが、どうやら人間に備え付けられている非常ベルが誤作動を起こしているのは間違いなさそうです。つまり、本来は十分に酸素が足りているのにも関わらず、どういうわけかからだが「酸素が足りない」と誤解してしまい、非常ベルを鳴らしてしまうわけです。それはちょうど溺れて空気が吸えないのと同じです。事実 パニック発作を体験した人は、「吸っても吸っても息が入ってこない」「今にも死んでしまいそうな感じ」だったと言います。つまり態にもどるのですが、「苦しくて死にそうだった」という強烈な体験は、決して忘れられません。そしてまたパニック発作になるのではないかと、多くの人が心配になります。やっかいなことに心配が続くと、パニック発作がまた起きやすくなります。つまり一回誤作動を起こした非常ベルは、誤作動を起こしやすくなってしまうわけです。こうしてパニック発作を繰り返すようになった状態をパニック障害といいます。
 パニック障害はきちんとした治療が必要な病的な不安の代表です。以前はあまり病気と認識されていませんでしたが、幸い最近は多くの人に知られるようになり、早く治療が行われるようになりつつあります。

Xさんは大学を卒業後、大手広告代理店に就職しそこで15年勤務した後、中小企業診断士などの資格を得て独立しました。40歳になった現在は企業コンサルタントとして精力的に新幹線や飛行機などで全国を飛び回り、忙しい毎日を送っていました。

ある日、Xさんは取引先へ新幹線で向かっている最中に突然激しい動悸に襲われました。数分ほどで動悸は治まり、Xさんは「最近寝不足だったからなあ」と考え、あまり気に留めませんでした。しかしその後度々動悸を自覚するようになり、不安に思ったXさんは内科の病院を受診しました。レントゲン写真や心臓の超音波検査、24時間の心電図を計測するホルター心電図の検査を受けましたがすべて『異常なし』と診断されました。

その後、Xさんの動悸は特に電車に乗っている時や家から離れた大通りなどで起こり、「心臓が止まって死んでしまうのではないか」という強い不安も伴うようになりました。そして電車やバスに乗る際に「また動悸が出るんじゃないか」と不安になってしまうため、仕事にも支障をきたすようになりました。

ある日、取引先へ向かう電車の中でXさんは激しい動悸、不安と息苦しさに襲われ立っていられなくなり、近くの救急病院に運ばれました。数十分後、動けるようになったXさんは、その病院の医師に対し動悸と強い不安に襲われ、呼吸が苦しくなってしまったこと、内科の病院で心臓の検査をしたが異常なかったことを説明しました。するとその医師はXさんに精神科への受診を勧め、数日後、Xさんは近くのメンタルクリニックを受診しました。

 

 

統合失調症は、こころの病気の中でもっとも研究されているものの、いまだ謎に満ちている疾患です。医学的には「知情意」(知覚、情動、意志・思考)が広範囲にわたって障害されることで特徴づけられます。

 

統合失調症の症状

 

統合失調症の基本的な症状を簡単にまとめると、以下のようになります。

 

1.知覚の問題

 存在しない声を聞いたり(幻聴)、他の人に見えないものが見えたり(幻視)します。

 

2.思考の問題

 思考に関しては、考える「内容」の問題、そして、考える「過程」の問題に分かれます。まず、考える内容ですが、全く見知らぬ人に悪口を言われたりしているように感じたり(被害妄想)、監視カメラなどでずっと見られているように感じたり(注察妄想)します。次に考える過程ですが、しばしば考えがまとまらなくなってしまいます。例えば「うちの兄ちゃんが、今度車を買うって言ってるんですけど、ステレオがひどい音でやっぱりロックって嫌ですよね…」(連合弛緩)といったことから想像がつくでしょうか。

 

3.自我の問題

ここでいう自我の問題とは、自分と他人の区別が曖昧となった状態をいいます。このような状態では、「自分の考えが他の人に知られてしまう」(思考伝播)「他の人が考えていることがすべて分かってしまう」(考想察知)といったような症状が認められます。

 

4.情動の問題

 不適切なときに笑ったり泣いたりすることがあります。また、感情をうまくあらわすことができず、いつ見ても同じような表情をしているようなときもあります。

 

しかし、個々の患者さんでこれらのすべての症状が見られるかというとそうではありません。むしろ一人一人全く違っているといってよいでしょう。ときにはストレスにかかる生活上の出来事が思考や行動の障害を促進するとも言われますが、ほとんどの場合、原因となるようなできごとは特定できません。

 

その他、症状を「陽性症状」と「陰性症状」に分ける方法もあります。この場合、「陽性症状」とは、「目に見える奇妙な行動」であり、幻覚であり妄想といった症状を指します。一方、「陰性症状」とは、「本来あるべき行動が認められない」ことを指します。具体的には活気が失われたり、自ら話しかけようとしなかったり、意欲が失われてしまったりといったことです。

 

統合失調症の発症率

 統合失調症にかかる割合は約1%と言われています。これには地域差はなく、全世界で同じように報告されています。発症する時期は20代から30代と言われ、男性が若干早いとされています。

 

統合失調症と遺伝

 統合失調症を発症する確率は統合失調症患者と血縁関係にあると高くなるという報告があります。一卵性双生児の一方が統合失調症のとき、もう一方が統合失調症だと診断される確率は50%まで高くなるという報告もあります。しかし、もし統合失調症が遺伝子の影響だけを受けるとすると、遺伝子が同じである一卵性双生児の発症率は100%になるはずです。どうして100%にならないのでしょうか?

 これは、環境因子、たぶん家族や友達の支えと増え続けるストレスなどが「統合失調症になること」にかなり関係しているからと推測されています。また、細菌やウィルスが統合失調症を引き起こすのではないかと考えている研究者もいます。このようなことから、遺伝および環境がともに影響し合っているというのが現在の見方です。

 

統合失調症と神経伝達物質

統合失調症の症状を説明しようとする仮説は多くありますが、多くの支持を得ているのは「ドーパミン」と「グルタミン酸」仮説です。覚醒剤の一種であるアンフェタミンは、脳内のドーパミンを増やすことが知られています。覚醒剤を長期間にわたって使っている人々は、かなりの頻度で統合失調症に似た幻聴や妄想といった症状を出すことが知られています。このことをきっかけとして、統合失調症とドーパミンの関連に関する研究が多く行われ、現在、統合失調症は過剰なドーパミンの伝達によっておきることが推測されています。

 最近、ドーパミンだけでなく、別の神経伝達物質も着目されています。脳内で広く用いられている興奮性神経伝達物質のグルタミン酸をブロックする薬を内服すると幻覚が起きることが分かりました。実際、幻覚剤の一種とグルタミン酸をブロックする薬の化学構造が非常に似ていることも分かりました。これらのことから、統合失調症の患者はこの「グルタミン酸」が少ない可能性があることも分かっています。

 

統合失調症の薬物療法

 上に述べたように統合失調症に関してはドーパミンが非常に重要な役割を果たすことが知られています。このことから、統合失調症に効果のある薬のほとんどはドーパミンをブロックする役割があります。しかし、ドーパミンをブロックしすぎると手が震えたり、体が動きにくくなったり、意欲が出なくなってしまうといった症状が多く認められます。このため、これらの症状を緩和するために、セロトニンなどのドーパミン以外の神経伝達物質の働きを調整する薬が開発されてきています。

 

統合失調症の経過

 統合失調症の長期にわたる経過は多様ですが、最近の研究では、以前に考えられていたよりもはるかに良いことがわかってきています。一般に、幻覚・妄想などの陽性症状が強い症状の場合、経過は一般的によいと言われています。また、慢性の経過をとっている場合でも、数年あるいは数十年後に改善する可能性があるため、改善傾向を完全に否定すべきでないといわれています。また、自然治癒する方々もいると考えられています。なお、近年、未治療の期間が長いと症状が重くなりやすいと言われており、早期からの治療の大切さが指摘されています。

 

このようにいろいろなことが分かりつつはありますが、いまだ統合失調症の全容は解明されていません。今日も世界各国の研究者たちが様々な領域から研究に取り組んでいます。

 

 前の文章では「こころが健康である状態」についてお話ししました。ではこころが不健康な状態とはどのようなことをいうでしょうか。
 くよくよとしてしまって気分が晴れない、今まで楽しかったことがつまらなく感じてしまう。細かいことが気になってしまって頭から離れない。やめたいと思っていることがどうしてもやめられない。わけもなく急に不安になってしまっていてもたってもいられない。何だか世の中が不穏な感じがして安心できない。心の内を見透かされてしまってどうしたらいいかわからないなど・・。
 たくさんの人がいろいろな悩みを抱えて精神科や心療内科の門を叩きます。悩みはいろいろですが、共通しているのは、ものごとの価値や自分の行動を適切に判断する力が弱まり、社会で生きていく上でな不都合が生じている状態であり、こういう状態が長く続くようでしたら「こころが不健康な状態」と呼んでもいいでしょう。
 このような状態は、脳の病気(精神疾患)による場合もあれば、その人の性格と環境とのすれ違いから起こる場合もあります。手に負えないようなトラブルを抱えたような時には、一時的にこのような状態に陥ってしまっても何の不思議もありません。また、こころの健康というものはその人の生き方と深い関係があり、姿形や人生が人それぞれであるように幅がありものです。さらにこころの健康と不健康の間には、連続的な移行領域(グレーゾーン)があります。ですからここから健康、そうでなければ不健康と考えたり、こころの不健康=こころの病気と考えたりするように単純にはわけられないものです。
 ところで、こうした「こころの不健康」の一歩手前の状態については、どうやってそれを定義づけるか、範囲をどこまでとるか、ということが難しいため、現在では予防対策や治療を行うことはほとんどありません。悩みがあってもどうしたらいいかわからない。誰に相談したらいいのか判らない。たとえ相談ができても、相談された側もどうしたらいいかわからない。その結果悩みが重くなって、本当に「こころが不健康」になってはじめて医療機関を訪れることが普通でした。こころに悩みやストレスを抱えていて全く健康とは言い切れない、でも「不健康」と言い切ったり、今すぐ医者にかからなくちゃいけない程ではない、どうしたらいいだろう。私たちはそういった方々に何かできないかと考えてこのサイトを始めました。

 あなたのこころは、今、元気ですか? たとえもしそうでなくて自分は普通の人生が送れていない、と思ってしまっても「こころの病気」であると決めつけるのは少し待って下さい。いろいろなストレスで参っている時に、「自分は健康ではない」とか「自分はこころの病気である」と考えてご自分のことをすぐに責めるのはやめましょう。
 生きていること、それだけで私たちは次の可能性に窓を開いています。それを忘れないで下さい。
有名な精神科医で精神分析家であるフロイトは、こころが健康である状態を「愛することと働くことができること」と述べました。
 ここで「愛する」とは、単にあなたが誰かのことを想い「愛する」ことだけをいうのではなく、相手の人格を認め、意向を尊重し、お互いに何かを交換しあえるような関係にある、ということでしょう。一方的だったり、相手に甘えて頼り切る「愛」ではなく、時にはお互いに一人になる時間を作っても壊れない関係のことです。
 また「働く」ということも注意が必要です。何かの症状があるのに「症状をなくすために」働こうとする方がいます。「症状をなくすため」でなく、「症状がなくなったから」働けるようになるというのが本当でしょう。「家族を養うため」とか「自己実現のため」など「働く」理由は様々ですが、病気からの逃避とは違う、実生活に根ざした目的があることが大切です。
 フロイトと同じ時代に活躍した精神科医フランクルは、こころの健康の条件として「苦悩する自由」をあげています。つまり「普通に」悩むことができるかどうか、ということです。
 ある種の症状を抱えてしまうと、人は「普通に」悩むことができなくなります。たとえば「視線恐怖」という症状のある人は「自分は人に変な目つきをしていると思われていないだろうか」ということを悩んでしまいます。これは「学校で友人と喧嘩した、仲直りできるだろうか」とか「会社で上司に叱られた、失敗した仕事の後始末をきちんとできるだろうか」などといった、誰にでもある普通の悩みとは違います。「症状の悩み」で頭が一杯になり、「普通の悩み」がどこかにいってしまいます。
 ときどき患者さんから「こころの病気が治ったらどうなりますか?」と質問されることがあります。「こころの病気が治ったらどうなると思いますか」と逆にお尋ねすると、「何も悩まなくなる」と答える方がいます。でも「何も悩まなくなる状態」というのは、それこそ悟りを開いた聖人のような人でなければたどり着けない境地でしょう。むしろ実生活の中で普通の悩みを抱えながら、ときにまわりの人の助けを借りてそれを解決し、自分を高めていけるような生活に戻ること、それが「治った」状態といえるのではないでしょうか。

「こころが健康な状態」とは、おおまかに

 ・眠ろうと思えば眠れていること
 ・食欲があること
 ・リラックスできる時間をもてること

だと言われますが、フロイトやフランクルの言うように

 ・人を信頼し、愛せること
 ・目的をもって働けること
 ・実生活の中で悩めること

も大切な要素です。

「うつ」症状の変動

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 「うつ」になると毎日がじめっとした気分になってしまうとはいえ、晴れない雨はあるのでしょうか? 快晴になるまでにはある程度の時間が必要ですが、洗濯物を干すぐらいの晴れ間もないかというと、そうではありません。長雨の最中でもときどきお日様が雲の隙間から顔を出すことがあるように、落ち込んだ気分もずっと同じ状態で続くというわけではありません。これを気分の日内変動といいます。ストレスが原因でおこっている「うつ」では夕方から悪くなるタイプが多いようです。逆に朝から午前中にかけて悪く、夕方から夜にかけて軽快するタイプは、いわゆる「うつ病」といわれる病気に多く見られます。このタイプは一度よくなってもぶり返す(再発)ことが多かったり、いつまでもぐずぐずと治らなくて慢性化することがあるので注意しましょう。

 日内変動ではありませんが「うつ」になる周期性には他にもこのようなものがあります。
 ・ほとんど毎日のように気分がブルー。あれこれもう何年かずっと「うつ」。
 ・冬など、ある決まった時期になると「うつ」になる。
 ・1ヶ月や半年毎など、ある決まった周期ごとに「うつ」になる。
 ・女性の場合生理前になると「うつ」になる。

食欲不振

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  食べたい気持ち(食欲)は、体や心の状態によってずいぶん変わります。特に精神的には、不安や、悩み事、ゆううつ、苛々などがある時には食欲不振におちいることがあります。恋の悩みで食事がのどを通らないといった経験は誰しもあるでしょう。

 脳の中には満腹中枢と摂食中枢という場所があります。ここは胃から信号を受けて「今足りないから食事しろ」とか「今多いから食事やめろ」とか指令を出し、食事の量をコントロールする司令塔です。しかし同時にこの司令塔は脳の感情をコントロールする場所ともつながっているので、気持ちに応じて食欲の程度を変えてしまうのです。ですから、身体にしてみればお腹が空いているのに、気持ちの方は少しも食べたくない、ということはざらにあることです。
 女性の場合、無理なダイエットをすると、自然と食欲がなくなってきて、食べなくてもいい気分になることがあります。しかしこれは拒食症の兆しである場合もあり、危険で注意が必要です。
 また、ゆううつな状態が続くと食欲がなくなり、体重が落ちてしまいます。本人は自分の食べる量が以前より減っていることにも気づかず、服がダブダブになったり、体重計に乗って三キロなり四キロなり減っているのを見て初めて気づく場合があります。これはゆううつな状態が続いていることを示す体の危険信号です。またゆううつな時、人によっては、苛々してやけ喰いしたり食欲がかえって増進する場合もあります。特に体が悪くないのに食欲が普段と違ったり、体重の変化が激しいときには、こころの状態をチェックしましょう。

身体の不調

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 気分が落ち込んでくるとどんよりとして自分からゆううつな状態を実感する人もいますが、そんな気分の症状よりむしろ体の不調、たとえば頭痛、めまい、肩こり、胃部不快などの症状が主の「うつ」状態の人もいます。特に「うつ病」では90%近くの方が頭痛を併発するとも言われています。これらの症状は、本当はこころの不調で自律神経の機能が不安定になっているという信号です。からだに問題が起こっているわけではないので、内科を受診して検査をしても異常が見つからず、原因不明といわれて一層悩み、病院をハシゴしたあげく、結果的に症状が長引いてしまったり悪化することも多いようです。

 内科で薬を処方されても症状を取り除けず、以下のような特徴がある方は、「こころが疲れているのかも」と考え、こころを癒す手段を講じる必要があるかもしれません。
 ・もともと性格が几帳面、緊張しやすく神経質。
 ・朝方から午後〜夕方にかけて症状が出やすい。
 ・頭痛の部位は全体、もしくは後頭部が多い。
 ・最近不眠がち。
 ・食欲がない。

疲労感

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  人間、何かしら体を使うと疲れます。しかし、気分の沈みこみから生じる疲れというものがあるのも事実です。散歩している自分をイメージしてみてください。同じ歩くにしても誰かと楽しくおしゃべりしながら歩く場合と、独りで黙々と歩く場合では同じ距離でも疲れ方が違うでしょう。歩く距離が同じならば筋肉の運動量は同じです。しかし疲労感がそれぞれ違う理由は、頭で感じている疲労感には多分に心理的な要素が含まれているからです。
 つまり、疲労の理由には体ではなく心に理由がある可能性があるということです。
 心理的な疲労感を払拭するにはどうすればよろしいでしょうか?好きなものを食べたり好きな運動をする、あるいはほかの人に悩みを聞いてもらうなど、方法は人それぞれあるでしょう。ここで私達のおすすめする方法は、「睡眠」です。意外でしょうが、体の疲れだけではなく心理的な疲れもこれで取れることができる場合が多いのです。

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