2008年7月アーカイブ

摂食障害(Eating Disorder)とは、おおまかにいうと「原因となるからだの病気や他のこころの病気がないのに、食べることに関連した異常(食行動異常)がみられる障害」を指します。思春期女性の発症がほとんどです。そこで一時は、思春期の病気とされていましたが、最近中高年になっても病気が続く人が増えています。

摂食障害には大きくわけて神経性無食欲症、いわゆる拒食症と、神経性大食症、いわゆる過食症の二つがあります。ほかにもただ食べ続けるだけの無茶食い障害や、ただ食物をチューインガムのようにかんでのみこまない、かみはき障害などがあります。これらは特定不能の摂食障害といわれています。

 神経性無食欲症(Anorexia nervosa)は、①やせたいという強い願望、②体重が増えることへの病的な恐怖、③自分の体型や重さを感じる感じ方の障害、④標準体重の-15%以上のやせ、⑤無月経、が主な症状です。具体的には、骨と皮のようにやせこけていても平気で「やせてうれしい」「もっとやせたい」といい、毎日体重計に乗って体重が増えていないか確認し、心配した家族が食事をすすめても一切とらず、一杯のスープやダイエットのこんにゃくしか食べないといったケースではまずこの病気を疑います。この病気の恐ろしさは、身体の衰弱が進んでもそれを否定することで、結果として亡くなることもあります。

 神経性大食症(Bulimia nervosa)は、①明らかに普通より多い食べ物を、一定の時間に、衝動的にコントロールできず食べるエピソード(むちゃ食いエピソード)を繰り返す②体重の増加を防ぐため、吐く、下剤を使うなどの行為を繰り返す③体重が増えることへの病的な恐怖、が主な症状です。神経性無食欲症と違って体重の著しい低下はないものの、常に体重のことと自分の評価を関連付けるため、うつ病や性格の偏りを合併しやすく、「こんなに太っている自分は許せない」といって自分を傷つけることもあります。

 治療には、カロリーを点滴する身体的治療のほか、歪んだ食生活を修正する行動療法や、歪んだ自己イメージを修正する認知療法などを組み合わせて行いますが、いづれも専門の治療機関で行います。

 摂食障害が起こる要因として、元来考えが硬く、小さい頃は「まじめでいい子」だった子が、思春期になってそれを演じきれなくなり、女性性と結び付けられやすい体型を病的に追い求めることで、成熟をしないでいようという願望が心理学的に説明されています。他にも現代のバランスの悪い家族環境や、やせていることを賞賛する社会環境なども要因としてあげられています。

この病気は産業革命期のイギリスではじめて報告され、現在日本をはじめ、世界中で増加しています。時代によって症状の形が変わり、先進国で多いことから、飽食時代の現代社会のひずみが反映されている病気といわれています。ようやく最近海外のファッションショーにおいて、やせすぎモデルの参加が禁止されました。しかしファッション雑誌には今日もやせすぎモデルの写真が掲載されています。この病気は私たちに「美しさ」や「食べること」の追求の意味を、深く考えさせます。

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