引きこもりの症例
Aさんは2人兄弟の長男として産まれました。父親はX県の県庁で働く公務員で、母親は中学校で英語教師をしています。成績は優秀で、東京都内の私立中学に合格し、越境して入学しました。しかし国語の時間、教科書の朗読の際に教師から「君は訛っているね。どこから通っているの?」と言われ、それからAさんは授業中先生に指されて答えることに激しい不安を覚えるようになってしまいました。さらに同級生との会話でも「訛っている」と言われることを恐れ、小さい声でボソボソとしゃべるようになってしまったため、「あいつはキョドってる」「暗くて何を考えているかわからない」と評判が立ち、イジメをうけるようになりました。
中学3年生からAさんは学校に行くことを拒否するようになりました。母親が理由を尋ねてもAさんは、「頭が痛いから」「体がだるくて熱っぽいから」と答えるのみで、週に一度程度しか登校しなくなりました。なんとか高校には進学したものの、すぐに出席日数が足らなくなり、数ヶ月でAさんは高校を退学しました。それまで休日は小学校時代の友人と遊んだりしていたのですが、その友人とも高校進学と共に疎遠となり、ほぼ毎日自室でTVをみたり、ゲームをして過ごす生活となってしまいました。両親はなんとか説得し、Aさんは近所の飲食店でのアルバイトを始めましたが、「失敗して怒られるのが怖い。高校中退はこの程度だと思われて馬鹿にされる。」などと言い、1ヶ月で辞めてしまいました。その後Aさんは近所の目も恐れるようになり、自室からほとんど出ることは無くなりました。一時力づくで父親が部屋から出そうとしましたが、Aさんは激しく抵抗したため結局それはかないませんでした。
それから5年、憔悴した両親は知人に勧められ、県の福祉課を訪れました。

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