2008年6月アーカイブ
摂食障害では極端な「やせ」への願望、太ることへの恐怖、体型に関するともすれば歪んだ考え方、下剤や浣腸の乱用、時に体重の極端な低下、食べ吐きによる血液検査値の異常、女性の場合生理が止まるなどの身体症状を伴います。典型的には若い女性が、家族、学校、職場での挫折、ストレス、時には性的被害などにより拒食、過食、食べ吐き、などが出現します。家族に対して逆に自分の食事を食べるように強いることもあります。
このような行動に対して「本人のわがまま」と決めつけたり、説教をしたり、強制的に食べさせようとしたりすることは、その行動をかえって悪化させることもあります。
治療においては本人だけでなく、家族の協力が必要です。過去の失敗や問題をとりあげるよりも、現在、これから本人とどうしていくかを検討していくことが、本人の回復につながることが多いです。
治療としては精神科、心療内科を受診、通院治療、入院治療をうける、また心理士によるカウンセリングなどがあります。近年、後述する自助グループへの参加も、有効であった方々もいらっしゃいます。摂食障害について専門的に治療を行っている病院、クリニックは限られるので、もよりの保健所、または県の精神保健福祉センターに相談してみると宜しいでしょう。
本人が治療を望まない場合、ご家族が精神科、心療内科で相談を受けられる所もございます。ご家族のみでお悩みにならず、まずは相談してみると宜しいでしょう。
専門のスタッフがいる病院での入院治療は主に精神科、心療内科で行っていますが、著しいやせなど重症な身体合併症のため、時に心療内科以外の内科で治療を要することもあります。
体重や食行動異常の回復には、時に長い年月を有することもあります。あせらずに、病院、クリニック、カウンセリングの先生と相談しながらやっていきましょう。
摂食障害を専門に行う病院、クリニックの中では集団精神療法といって、専門家と、摂食障害の方々が集まり、話し合いながら治療をうけていくところもあります。また、近年自助グループといって、現在治療中の方々、昔摂食障害を患った方々で集まり、話し合いながら軽快した方々もいらっしゃいます。
Aさんは2人兄弟の長男として産まれました。父親はX県の県庁で働く公務員で、母親は中学校で英語教師をしています。成績は優秀で、東京都内の私立中学に合格し、越境して入学しました。しかし国語の時間、教科書の朗読の際に教師から「君は訛っているね。どこから通っているの?」と言われ、それからAさんは授業中先生に指されて答えることに激しい不安を覚えるようになってしまいました。さらに同級生との会話でも「訛っている」と言われることを恐れ、小さい声でボソボソとしゃべるようになってしまったため、「あいつはキョドってる」「暗くて何を考えているかわからない」と評判が立ち、イジメをうけるようになりました。
中学3年生からAさんは学校に行くことを拒否するようになりました。母親が理由を尋ねてもAさんは、「頭が痛いから」「体がだるくて熱っぽいから」と答えるのみで、週に一度程度しか登校しなくなりました。なんとか高校には進学したものの、すぐに出席日数が足らなくなり、数ヶ月でAさんは高校を退学しました。それまで休日は小学校時代の友人と遊んだりしていたのですが、その友人とも高校進学と共に疎遠となり、ほぼ毎日自室でTVをみたり、ゲームをして過ごす生活となってしまいました。両親はなんとか説得し、Aさんは近所の飲食店でのアルバイトを始めましたが、「失敗して怒られるのが怖い。高校中退はこの程度だと思われて馬鹿にされる。」などと言い、1ヶ月で辞めてしまいました。その後Aさんは近所の目も恐れるようになり、自室からほとんど出ることは無くなりました。一時力づくで父親が部屋から出そうとしましたが、Aさんは激しく抵抗したため結局それはかないませんでした。
それから5年、憔悴した両親は知人に勧められ、県の福祉課を訪れました。
